【恋愛学】森川友義×Nozze代表 須野田珠美 対談
結婚の◯◯学:第一回目「結婚の政治経済学 -前半- 」
(結婚アテンダント公式テキスト第8章 「恋愛と感情」について)

恋愛に年齢は関係ない?!自分の価値を知り、価値を上げるために(前半)

【恋愛学】森川友義×結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美対談の様子01

早稲田大学で「恋愛学」の講義を行なう、早稲田大学国際教養学部教授の森川友義(もりかわとものり)先生。
先生は政治学者でいらっしゃいますが、恋愛・結婚を学問として捉え、大学で教鞭を取り、この分野の著書も多数おありです。森川先生には、結婚相談所ノッツェ、一般社団法人結婚社会学アカデミーとタッグを組んでいただき、「恋愛力養成講座」をご担当いただいております。学生にも分かり易い、社会情勢も踏まえた興味深い話が、大変好評を博しています。
その森川友義先生に、Nozze代表取締役 須野田珠美が「結婚の政治経済学」について伺いました。

学問としての「恋愛・結婚」とは

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:本日は、早稲田大学で「恋愛学」の講義を行なう、森川友義(もりかわとものり)教授にお越しいただきまして、結婚相談所ノッツェ(以下、ノッツェという)代表取締役である、私、須野田珠美がお話しさせていただきたいと思います。
2018年11月より森川先生とノッツェ、そして、一般社団法人結婚社会学アカデミーがタッグを組み、「恋愛力養成講座」を開講いたします。それにあたりまして、今回は森川先生からいろいろなお話を伺いたいと思っております。 私、先生のお話も含めて、いろいろな本を読ませていただいていますが、政治学者でいらっしゃる先生がどうして恋愛を学問として教えていこうと思われたのか、とても興味があります。

森川友義

森川:政治学者が恋愛学をやっていると最初に訊かれる質問です。
政治学は政治の諸問題を扱う学問ですが、わが国における政治の諸問題は何かというと、消費税だったり、防衛だったりするのですが、その中に「少子高齢化」問題というものがあります。「高齢化」問題は「少子化」が起きるから生じると考えることができます。では「少子化」問題とは何かと言うと、合計特殊出生率が1.4になり、人口が減少してきているということです。2006年に日本の人口は1億2千800万人でピークを迎えたのですが、現在はジェットコースターが真っ逆さまに落ちていく勢いで人口が減少している現状があります。今後30年の間に少なくとも2千5百万人は減ってしまうことが予想されています。だいたい東京都、千葉県、埼玉県を足した人数が日本からいなくなってしまうということです。それでは、その少子化問題の原因は何かと申しますと、端的にいうと結婚しない男女の増加なのですね。既婚者の出生率というのは1.94です。つまり、いったん結婚すればほぼ2人の子どもをもうけている。しかし全体の出生率は1.4ですから、少子化の原因というのは根本的に独身の男女の増加と捉えることができます。というわけで、若者に恋愛してもらって結婚してもらえれば、少子化問題が解決します。少子化問題が解決されれば、高齢化問題も解決されるという理屈になりますね。ですから、政治学者が恋愛学を教えているのです。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:では、そういう少子化問題を解決していくことに直結する恋愛市場があるということですね。

森川友義

森川:そうですね。それは社長さんのほうがよくご存知ではあると思いますが。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:森川先生は「恋愛とは、『恋愛市場』『結婚市場』『浮気市場』の中で、自分の資産価値をもとにおこなう物々交換のこと。」という行為だとおっしゃっており、それは面白い概念だと思うのですが、そのことについて詳しくご説明いただけますか。

森川友義

森川:世の中の取引は、自分の価値を前提にして交換するというふうにとらえることが可能です。大学受験にしても、就職活動にしても、自分という商品を売って、相手(大学、会社)に買ってもらっている。それとまったく同じメカニズムになっているのが、恋愛だったり、結婚だったり、さらに言えば不倫だったりするわけです。そのような、自分の商品価値をもとにして、最終的には等価交換をおこなうというのが恋愛市場なり結婚市場なりの男女の取引です。自分が、100点満点中、60点の商品価値だとすると、その60点を基点にして相手を買おうとするわけです。でも60点だと90点の人は買うことができないですよね。相手は安売りをしたくはありませんから。したがって、最終的には60点の人には60点の異性が、90点の人には90点の人がといったように等価交換にならざるを得ない構造になっています。これを「恋愛均衡説」と呼んでいます。

「恋愛できない、結婚できない」原因とは

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:今、先生の講義を聴いていらっしゃる大学生たちの恋愛傾向はどうでしょうか?

森川友義

森川:大学では「恋愛学入門」という授業を教えているのですが、そこでのアンケート調査の結果によれば、まさしく少子高齢化の原因である、恋愛できない、結婚できないといった縮図が表れていますね。コミュニケーション能力が落ちてきているからでしょうか、大学生の交際率の低下が数字的にも表れてきています。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:先ほど先生がおっしゃった等価交換だと、自分の点数がどのくらいなのか分からない方たちが多いということでしょうか。

森川友義

森川:はい。通常は自分の点数を理解するためには、女性をくどいて、うまくいった相手がだいたい自分の点数だと分かるじゃないですか。しかし、一度も交際を経験したことがない男性が増えているので、自分の点数が分からないまま、大学を卒業してしまう子が多いですね。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:自分の点数というのは結局、恋愛経験値から学んで知ることですよね。今、ゲームなどで、バーチャル恋愛とか、漫画の主人公に本気で恋をするという若者が非常に多いじゃないですか。そういう方たちって、ご自分がリアルな経験をしていませんから、自分の実際の点数がどれくらいかも把握できていませんよね。かなり上のレベルで見ていたり、もしかしたらもっと価値を低く見ていたり、自分の中での妥当な自分というものを発見するという手立てが不足しているということなのでしょうか。

森川友義

森川:そうですね、さきほどは男性の問題を述べましたが、女性にも問題があります。大きな問題の一つは、女性も自分の価値の正しく算定できていないという点です。女性の場合は、自分の価値を過度に高めに設定してしまう傾向があります。自然とそうなってしまうのでしょうね。私はそれを「ベースライン思考」と呼んでいるのですけれども、要するに、自分を基準にして、それを最低ラインにして、それよりも上の基準の男性を選ぼうとする傾向です。たとえば、自分は大学を卒業したから、相手の学歴も同じであってほしいとか、自分の身長よりも高い男性であってほしいとか、自分の年収よりも同じかそれ以上であってほしいとか。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:要するに高望みですよね。自分の本来の点数よりも上を求めるということ。

森川友義

森川:そうなのです。でも本人は高望みをしている自覚はないのですよ。自分がこのくらいなのだから、男の人にはそれ以上を求めても当然じゃないかと。でも自分よりも学歴が上で、自分よりも身長が上で、自分よりも年収が上というと男性は超優良物件になってしまうわけですが、女性はそれを「普通の男性」と言っています。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:三高という時代がありましたよね。

森川友義

森川:高学歴、高身長、高収入ですね。現代の女性は三高を望んでいない、普通が良いというふうに言いますが、結局、高望みをしています、結果的に。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:その現象はどのような背景から生み出されてくるのでしょうか?

森川友義

森川:女性の高学歴化が主因です。たとえば、1965年の女性の大学進学率は4.6%でしたが、現在は45.6%となっており、短大卒を含めれば過半数を超えていて、男性の大学進学率を上回っています。高学歴化自体は良いことですけれど、高学歴化と社会進出によって、女性が独り立ちできるような、年収だったり、学歴だったりを身につけることで、「ベースライン志向」の基盤が生まれているってことです。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:では、女性が社会進出にともなって、どうしたら、現在ベースラインではない、本当の自分の価値を知ることができるようになるのでしょうかね。

森川友義

森川:その点は難しいところですね。女性が、たとえば500万円稼いでいて、「相手の男性には300万円で良い」と考えてくれれば問題ないのですが、そういうふうに考える女性は滅多にいません。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:女性の中でも、今仕事を頑張っていても出産や育児を考えると、自分が一時休まなければいけない、その時に男性の経済力とか、そういうことが頭の中をよぎるのではないでしょうか。それはどうでしょうか?

森川友義

森川:そうでしょうね。景気を良くしたり、育児休暇を整備したりといったように、政治も含めて今後、解決しなければいけないことでしょう。確かに現在も働き方改革であったり、一億総活躍プランの実施だったりと努力はしているようですが、私たちが望んでいるレベルにはまだ達していない現状があります。

シニアの恋愛結婚観と恋愛メリット

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:それと、晩婚化が進んでいくにしたがって、ノッツェもですがアラフォーから今度アラフィフでも初婚の方が増えてくるのですね。あとシングルマザーの問題や再婚も増えていますし、男性も50になってやっと結婚考えるという方も増えています。そういった中で、今年(2018年)の春頃に「54歳からの恋愛バイブル」として、課長島耕作の漫画家である弘兼憲史さんと共著という形で『黄昏流星群学』を出版されていらっしゃいますよね。やはり、54歳からというところがポイントなのですが、シニアの恋愛結婚観について先生はどのような背景からお考えでしょうか。

森川友義

森川:弘兼憲史さんのマンガ『黄昏流線群』に登場する主人公の年齢の平均値をとると54歳ということで、そのようなサブタイトルになっています。確かに、50歳を過ぎて結婚をする「シニア婚」が大きなテーマになっていますが、現在の日本の状況を反映しています。50歳での未婚率は男性が24.9%で4人に1人が未婚ということになります。女性の方は14.1%ということで、こちらも上昇してきています。今後も右肩上がりで上昇してゆくことが予想されます。
50歳を過ぎてからのシニア婚ですが、婚姻数の割合でいえば、1960年でのシニア婚は8,839人で、当時の婚姻総数が1,732,230人であることから、全体からみればたったの0.5%に過ぎなかったのですが、現在ではシニア婚が40,485人に達し、全婚姻数1,270,192人の3.2%を構成するほどになっています。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:10%ぐらいになってくるのではないでしょうか。

森川友義

森川:そうですね、近い将来、そのくらいにはなっていくでしょう。シニア婚は日本の少子化問題を解決することはできませんが、それ以外の問題を解決する有効な手段と思っています。個人レベルでは、長生きできる、健康が増進されるといったメリットをもたらしますし、日本全体からみると、地方の活性化、孤独死の減少、空き家率の低下といったメリットをもたらします。まさにわが国が抱える高齢化に伴う諸問題の特効薬の役割を果たしているとも言えるのです。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:もちろん、そこからの素晴らしい結婚もあるし、私はいくつになっても、パートナーと一緒に生きていくという気持ちを持っていくことは、人として大事なことだと思っていますが、やはり子どもを産むか産まないかの選択肢を持っている状況の女性たちに、結婚に向き合って欲しいじゃないですか。そういう女性たちが結婚したくなるには、どういう行動をすればいいのでしょうか?

森川友義

森川:女性はいくつになっても結婚したいと思っていますし、魅力を維持できていますが、むしろ男性の方が問題です。とくに経済力という意味では、魅力が低下しますよね。だいたい65歳で定年を迎えますから、50歳の人でも残り15年くらいしか働くことができません。その後は、年金生活者になるわけです。さらには介護も必要になっていく。お年をめしても男性の魅力度をいかに上げていくかということが、シニアの方々の課題ではないでしょうか。

結婚相談所ノッツェ代表須野田珠美

須野田:すごく深いテーマですけれど、普通のサラリーマンが定年を終えた後、どうしたら男の魅力度を上げていくことができるのでしょうか?

森川友義

森川:まず、定年を65歳ではなく、70歳、75歳まで引き上げていくということが重要ですね。シニアの方々もそれを望んでいます。それから男性の場合は五感的魅力の維持が重要です。五感といってもとくに嗅覚が重要で、年をとるにしたがって、臭くなってゆく男性って多いじゃないですか。ですから、一般的な言葉で言うと、清潔感を創出することが重要です。この点、なんとかしなければいけないですね。

第一回目「結婚の政治経済学-後半-出会いのポイントは女性のイニシアチブ」を読む

森川友義(もりかわ とものり)プロフィール

森川友義(もりかわとものり)

森川友義(もりかわ とものり)
早稲田大学国際教養学部教授。政治学博士(Ph.D.)。
1955年生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、ボストン大学政治学部修士号、オレゴン大学政治学部博士号取得。アイダホ州立ルイス・クラーク大学助教、オレゴン大学客員准教授を経て、現職に至る。
専門分野は日本政治、恋愛学、進化政治学。恋愛学の著書は、女性用に『最強の恋愛術』(ロンブー田村淳との共著、マガジンハウス)、男性用に『結婚は4人目以降で決めよ』(新潮文庫)、『なぜ、結婚はうまくいかないのか?』(ディスカヴァー携書)等多数。