社会学教授 赤川学×NOZZE.代表 須野田珠美
対談 結婚の◯◯学「第2回目 : 結婚の社会学 -後半- 」
(結婚アテンダント公式テキスト第1章 「非婚化、晩婚化」日本の現状)

本当に結婚はコスパが悪いのか?!結婚をすると得られるものとは(後半)

[社会学教授]赤川学×結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美対談の様子03

東京大学で「社会学」の講義を行う、東京大学大学院 人文社会系研究科・文学部 教授の赤川学(あかがわ まなぶ)先生。先生は社会学者・歴史社会学、人口減少社会論を中心に大学で教鞭を取り、この分野の著書も多数あります。
ご自身が学生結婚をされ、その際に「ヒモ」だったという経験もあり、銀婚式を済まされた、これまでの結婚生活のエピソードも興味深いです。

心の距離感を近づけるためには

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:私思うのですが、この頃恋愛できない人、結婚できない人たちは、距離感の取り方が非常に下手なのではないかと思います。例えば、携帯電話で「今、何してたの?」「メールしたのにすぐ返事が来なかった」とか。相手を縛って、時間を拘束していますよね。あとは、威圧的・支配的な精神状態になっていますよね。それと、過干渉でいちいち相手の生活に関して、自分に合わせて欲しいという欲求が、特にアラフォー世代になると強いです。独身生活が長いと、お互いに譲れないものがたくさんありますね。それを捨てずに、相手と接点をにらみ合いっこしている方たちが多いと思いますが、先生はどう思いますか?

赤川学

赤川:もちろんそういう面はあると思いますね。
例えば、部屋に靴下を脱ぎっぱなしにするのは嫌だとか、お互いこう直して欲しいということもあると思います。おそらく妻はかなり諦めていて、私も少しは諦めていると思いますが、それがないとやっていけないですね。あとは、考え方が近くなってくるのは面白いですね。人の悪口は言わないとか、物に対する考え方とか、例えば、日本国はどうあるべきかについて、意見が擦り合ってきて、そうなるとお互い楽だという気もしますね。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:そこで満足出来るかどうかですね。
それがないと、形でお互い接点を求めようとして、余計にちぐはぐになっていくということもあるのかもしれません。心の深いパイプを作るという、何でも話し合える場があったのは、とても素晴らしいことだと思います。

赤川学

赤川:まあ、私が暇だったということもありますが(笑)

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:私も夫婦でよく、朝まで生テレビで有識者の話を聞いて、俺はこうじゃないと思うとか、私はこうだと思うって、じゃあ二人で話そうという感じでよく話していました。

赤川学

赤川:すごいですね。素晴らしい。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:でもそのうちに、別にどちらが合わせているわけでもなく、似てくるというか、こういうところに共通点があると分かり、うまくいっているご夫婦のお話を聴くと、夫婦とはもしかしたらどこかで、自分の深層心理やDNA的なところで相手を選んでいるのかな、と思うこともありますね。

赤川学

赤川:そうですね。そうかもしれません。自分の考え方も若い頃と徐々に変わっていて、妻にとっても、そういう面がありますね。国会でもそうなるといいと思います。とにかく相手を貶めるために戦略を取ることもあり、これが夫婦関係として見ると相当きついと思います。これは昔、山田太一先生、私が一番大好きな脚本家の先生が、相手のことを100%好きってことはない、70%ぐらい好きなら好きってことだと。ドラマの中でそのようなセリフがあり、それが頭に残っていて、7割くらいが共有していればいいのではないかと思います。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:先生の「こどもが減って何が悪いか!」という、結婚相談所に喧嘩を売っているのではないかという(笑)タイトルの著書で、少子化・高齢化の中で一般的に求められる価値観ではなく、それぞれの価値観を持つことが大事だということをお書きになった真意は?

赤川学

赤川:基本的に、私も子どもが嫌いというわけではないですが、子どもをダシにしていろいろ政策を言ってくる人がいるのです。子どもをある政策の目的に、手段として利用しているという面があり、それは良くないと。特に出生率を上げるためにこういう政策が必要だという、保守もリベラルもずっと言ってきたと思いますが、子どもは子どもとして尊重されるべきではないかと。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:子どもは社会のために生まれてきたわけではないですし、その家庭の両親のためでもなく、自分の命を全うするために生まれてきたということですよね。

赤川学

赤川:そうですね。そういう社会でいるほうが良いのではという思いを込めて、当時は本を書きました。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:男性の籍に入り、一緒の家に住み、出来れば子どもを作り、こうあるべき結婚というものはありますが、それが成り立たないことが多いので、私の自著「おふたりさま はじめました。」ではこのような形も結婚、このようなライフスタイルもいいのではなど、いろいろなライフスタイルをいくつか書きました。それについて先生はどう思われますか?

赤川学

赤川:本当に素晴らしいと思います。涙が出てきました。自分は高齢で、子どもは産めないかもしれないという悩みを抱えている女性に、男性のほうが、子どもはどうでもいい、あなたとの生活を、二人の関係を大事にしたい、というくだりがありました。そういえば私も、子どもはどうでもいいという面があり、一般的な家族形態からすると異なるのかもしれませんが、そういうところでお互い納得出来ていたという面がありますね。そして、逆にどうして結婚しなければいけないのかと考えた時に、結婚しなければ出来ないことは何か?というと、子どもを産むだけということで、その他の、家事・育児・セックス等々は、結婚しなくても出来てしまいます。子どもを産むことだけが結婚する目的というような理解も一方ではあるわけですね。そこがネックになってしまう面があるのかという気がしますが。

[社会学教授]赤川学×結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美対談の様子04

パートナー、夫は要らない?!

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:日本も最近はフランスと同じ、パートナーはいないけれど、女の人が子どもだけ自分で育てる、婚外子などを認めつつある国になってきていますが、どう思いますか?

赤川学

赤川:そうしたい人は結構たくさんいると思いますね。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:逆に、夫がいることで病気になる病として「夫源病」がありますね。子どもでもいろいろなトラブルは起きますが、まだそのような経験値のない女性は、子どもは自分の分身みたいだから、子どもは欲しいけれど、夫源病になりたくないから、相手はいらないと言われます。そのような現象はいかがですか?

赤川学

赤川:それはこの間、中国のテレビ局CCTVの方が取材に来て、東京支局長の女性と対談したのですよ。日本には、夫はいらないけれど、子どもが欲しいという人がたくさんいますよと言ったら、本当に驚いておられました。中国ではありえないという感じでしたね。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:中国は家の制度を大切にしている国ですからね。

赤川学

赤川:あれだけ出生率が減っていてもそうなのですよね。そのような女性は、私の学生の頃からいて、男は要らないけれど子どもだけ要る、と。実際そうなのかもしれないな、と思うところもあります。それこそ、面倒くさい夫だったら、要らないということですね。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:その晩婚化の遺産なのかもしれませんが、男女ともに30歳を過ぎて仕事に打ち込んできたけど、長い人生をパートナーと共に過ごしたいという思いが募り、婚活を始めるけれど、年令を重ねた分自然に子どもが望みにくいという現状がありますよね。妊娠適齢期や不妊治療など、子どもを持つことへの教育を早い内に行う必要があるのではと思いますが、いかがでしょうか?

赤川学

赤川:それは様々な意見がありますね。不妊治療教育を、学校教育に取り入れることに対して問題はありますが、現状はおっしゃる通りで、事実としてそうですね。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:押し付けるわけではなく、学問として重要な分野ですよね。
それにより、20代前半で結婚して子どもを産み、それから仕事を頑張ろうと思うのか、どうするのかを本人が選ぶことができる、そのような教育は社会がやるべき一つの取り組みかと思います。

「社会学」での近所の人格者の役割=「結婚アテンダント」

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:今日本では、1/3は離婚し、その半分は結婚して3年から5年以内の離婚です。まだ経験の浅い夫婦の離婚には、身近に深い相談ができる環境がないことが一つの理由としてあると思います。
そこで私が設立した「結婚社会学アカデミー」では、結婚後の5年間「結婚アテンダント」が第三者の立場から夫婦関係の改善の方法の指南などお世話をすることで、夫婦二人で知恵をしぼってやっていく社会性を養うことを目的にしています。 私はこのような理由で、結婚社会学アカデミーで、お仲人さんのレベルが高い東大を作ろうと思っています。先生はどう思われますか?

赤川学

赤川:社会学的な観点から言うと、親類や、近隣の人の中での人格者の役割ということですよね。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:今は、親戚付き合いも何もない方たちが多いですからね。

赤川学

赤川:それは本当に思います。誰にも相談出来ないという人が多いと思いますね。それが、そもそも結婚の数を減らしているということもありますし、実際に結婚をしてからいろいろ起きるトラブルを相談できる先を作っておくというのは、素晴らしいことだと思います。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:以前、3〜4組の不妊治療を行っているけれど、子どもが出来なくて悩んでいる夫婦が、夫婦を交換(他人の妻、他人の夫と不妊治療の悩みについて話す)してじっくり話を聞いた後、お互いの夫婦に戻ると、見えてこなかったものが見えてくる場面を映した映像を見たことがあります。あのような場があれば、不妊治療でただ苦しむだけでなく、お互いの気持ちが自然に分かり、そこから成長していくことも可能で、そのような場を作ることも、非常に大事だと思いました。
最後に先生から、結婚相談所に入って、一年の中でなんとかお相手に巡り合いたいと思って頑張っている方に、メッセージをお願いします。

赤川学

赤川:ひとつはっきり言えるのは、結婚は大変難しくなっているのですね。現在、結婚すること自体が難しくなっていて、それは我々の世代とも比べて明らかだと思うのですが、簡単に言うと周りで見守ってくれる方が少なくなってきているということですね。ですので、婚活ということが出て来たのも、結局自分で就職活動をするように婚活しなければ結婚できないという、自己責任の世界になってきているという辛さがあると思うのですよね。私は、そういう時代にあって、結婚しようとしている人たちを偉いと思います。頑張れというのは、イイかっこつけかもしれませんが…。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:エールを送りたいということですよね。

赤川学

赤川:結婚はしてみれば結構いいもの、一言で言うと「精神的安定」ということですが。それは、言葉に出さない人が多いのですね。結婚の悪い面ばかりどうしても語ってしまうというところはありますが、してみたら意外といいものですよと伝えたいです。

結婚相談所ノッツェ.代表須野田珠美

須野田:…と、いい結婚をなさっている赤川先生がおっしゃっています。(笑)
これから、結婚社会学アカデミーとノッツェ.では、赤川先生のたくさんのセミナーや講座を、今後もご協力をいただいて、開催していければと思っています。 先生の著書もたくさん出ていますので、みなさん是非お読みになって勉強してみてください。本日はありがとうございました。

赤川学(あかがわ まなぶ) プロフィール

赤川学(あかがわ まなぶ)

赤川学(あかがわ まなぶ)
東京大学大学院人文社会系研究科教授。
1967年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科社会学専攻博士課程修了。博士(社会学)。専門は社会問題の社会学、歴史社会学、セクシュアリティ研究、人口減少社会論。
著書に『子どもが減って何が悪いか!』『これが答えだ! 少子化問題』(ちくま新書)、『明治の「性典」を作った男: 謎の医学者・千葉繁を追う』(筑摩選書)、『セクシュアリティの歴史社会学』(勁草書房)、『社会問題の社会学』(弘文堂)など多数。